家づくりに役立つコラム

 
家づくりに役立つ話をコラム形式で定期的に発信したいと思います。
家づくりに役立つ話のコラム第4回目は、耐震性能のお話をしたいと思います。

注文住宅における耐震性の重要性

この地震国日本において、「地震に強い家」を意識して家づくりに取り組むことはとても大事なことだと思います。現実にもほとんどの方は、大なり小なり、そこを意識して家づくりを考えているのではないかと思います。

しかし一方では、「耐震性」という部分は家の構造技術に関わることになりますので、一般の方にとって「わかりづらくて難しいお話」だと捉えてしまい、結果として「今の時代、どこで建てても壊れる家にはならないだろう」というような、少々安易な思考になってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
 
今回は、この「地震に強い、地震に壊れない家を建てる」ために、どのような知識が必要なのか、をできるだけわかりやすく解説したいと思います。
 

「建築基準法」を守れば安心なのか?

まず、大前提として、日本には「建築基準法」という法律があり、限りなく全ての住宅会社はこれを守って建築をしているということを認識してください。この法律を守らないで建築した家は「違法建築」ということになりますので、これは問題外とします。
では、この「建築基準法」を守れば全て地震で壊れない家になるか、というと、残念ながらその答えは「NO」と言わざるを得ません。
何故かというと、この「建築基準法」という法律は、最低限のレベルを維持するための法律であるからです。この法律は、戦後間もない1950年に制定され、焼け野原から少しでも多くの家を建てられるように、非常に低いレベルからスタートした法律です。
以来、大地震の度にいくつかの改定がされるのですが、現実的に必要な高いレベルにまでは基準を上げることができずに今に至ります。
いきなり基準を上げると業界的に混乱が起こるということが大きな理由のようです。
 

「耐震等級」で判断する

では、どこで耐震性の判断をすればよいか、ということになります。
一番わかりやすいのが、新しい別の法律である「住宅品質確保促進法」で定められた「耐震等級」というものを利用することです。この法律は義務ではないのですが、希望であれば活用することができます。
「耐震等級」には1~3までの3段階に分かれていて、3が最も耐震性の高い等級となります。「数百年に一度起こる大地震の1.5倍の地震にも倒壊しない」というレベルとされています。ちなみに、等級2は1.25倍、等級1は1倍ということになっています。わかりやすく言うと、「等級3」は「等級1」に比べて1.5倍耐震性が高いということです。
 


なので、みなさんが地震に強い家にしたいと思われたら、とりあえずその住宅会社に「耐震等級3でお願いします」と言っていただくと良いでしょう。
当然ですが、「耐震等級3」となれば、構造躯体も頑丈になりますし、構造のチェックもやることが増えてきますので、多少のコストアップになるでしょうし、全ての住宅会社が対応できるかはわかりません。逆に言えば、その対応をできない会社や前向きでない会社は、建築を依頼すべきではないと言えるかもしれません。
ちなみに、ドゥハウスでは「耐震等級3」を標準としています。
 

「許容応力度構造計算」を行うこと

次に、その耐震性を裏付ける方法として、どのような構造設計をしているかという点も是非知っておいてほしいことです。
先ほども解説した「建築基準法」では、日本における建築物は全て「許容応力度構造計算(以下構造計算)」という計算を行い、その建物の安全性を確保しなければいけない、といことが記されています。

この「構造計算」とは、その建物の大きさや高さ、形、重さをベースに、その建物にかかる地震力や風圧力をインプットして、全ての個所が壊れないような部材や構成にしていくために、ロジカルに計算で確認していく作業のことです。
これは建物だけはなく、「自動車」や「飛行機」、「家具」や「家電」など、何らかの力がかかる製品については全て行われているプロセスです。
よって、「建築基準法」上では、超高層ビルであろうが、平屋の木造住宅であろうが、この「構造計算」という行為を行う必要があり、家を建てる時に役所に申請する「建築確認申請」に添付しなければならないということになっています。

しかし、ここで「例外」という条項があります。
「500㎡以下、10m以下、2階建て以下の木造建築」に関しては、この「許容応力度構造計算」は提出しなくても良いということになっています。つまり、一般的な2階建て以下の木造住宅では、この「構造計算」をしなくても「建築確認」が下りるということです。
結果として、ほとんどの木造住宅は「構造計算」がなされていないということが現実です。

「構造計算」の代わりに、「壁量規定」という床面積に応じて壁の枚数を決めるという簡易的な設計ルールがあり、多くの住宅会社はこれで建物の耐震性を決めているのが現実です。
この問題は近年、建築の専門家でも問題視されていて、2階建て以下の木造住宅でも「構造計算」を義務化するべき、という声も多く上がっています。
しかしながら、これまで行ってこなかった住宅会社では対応できないのではないか、という意見もあり、今のところまだ義務化されてはいません。

ちなみに、ドゥハウスで採用している「SE構法」は、木造でありながら全ての建築物において「構造計算」を行っています。その計算を行ったうえで「耐震等級3」を確保できるようにご提案をしています。当社がこの「SE構法」を採用している理由は、理系出身である私のスタンスがベースにあるからです。家族の命を守る家の耐震性については、これまでのような勘や経験に依存するのではなく「できる限りロジカルに計算・検証をして安全性を確保するべき」ということを大事にしているからなのです。
「SE構法の構造計算」の詳細については、動画でも解説していますのでご覧ください。

「耐力壁と空間の両立」

「耐震等級3」を取得するにおいて、もうひとつ注意点があります。
それは「空間の実現度」です。一般的な在来木造や2×4工法の場合、耐力壁と呼ばれる筋交いや合板で作る壁が耐震的にとても重要です。その「耐力壁」が多いほど耐震性は向上するということになります。つまり、簡単に言うと耐震等級を1から3へ向上させるためには、その耐力壁を1.5倍増やさなければいけないということになるわけです。
結果として、空間にいらない壁や柱が登場してしまうということになるわけです。

開放的な空間を望む方にとってはとても悩ましい問題です。特に、「吹き抜けのある窓の大きい明るいリビング」や「愛車を格納するビルトインガレージ」などは、これが大きな課題となり、耐震性を取るか空間を取るか、というような判断を迫られることになります。
また、新築時には問題なくても、将来、家族構成が変わって間取り変更をしたいときに、外せない壁や柱がたくさんあることは、自由度を著しく制限されるというデメリットも存在します。

そこでも、ドゥハウスが採用している「SE構法」の強みが発揮されています。「SE構法」は、「ラーメン構造」という特性で、柱と梁の接合部に大きな強度を持っているので、少ない耐力壁で高い耐震性を実現することができます。
その耐震性の裏付けも前述した「構造計算」によって担保されているので、安心して大きな空間の家を建てることができるというわけです。
 

 


もちろん、間取り変更の自由度も高く、将来的にリフォームしたり、中古住宅として売却したり、賃貸で貸したりするときに大きなメリットとなります。
 
このように、耐震性の高い家を建てるためには、「耐震等級」や「構造計算」、「設計の自由度」などを踏まえたうえで、自分たちにとってベストな選択をしていただければと思っています。住宅会社によってそのスタンスは様々ですので、それぞれしっかりとお話を聞くことをお勧めします。
もちろん、ドゥハウスでもそのようなご相談には積極的にお受けしていますので、お気軽のお問い合わせいただければ幸いです。
 

ドゥハウス(株)ハウスプランナーハネイシ 代表取締役 羽石明人

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